【厳選8冊】西洋哲学史のおすすめ本をレベル別にご紹介

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西洋哲学史おすすめ本

哲学史を学ぶのであれば、簡単な本から難しい本へ徐々にステップアップしていくのが理想的です。

しかし、哲学史に関する本は数多くあれど、どの本も「入門」とか「初心者向け」などと書かれていて、それぞれのレベルは結局よく分からないのが難点。

一見難解で読みにくそうな本が実はとても分かりやすかったり、簡単そうな本でも意外と知識が必要だったりします。

そこで今回は、西洋哲学史に興味を持った人が読むべき本を、「入門」「初級」「中級」という3つのレベル別ご紹介します。

ご自身のレベルに合う本からぜひ手に取ってみてください。

↓哲学史に限らない哲学入門書のおすすめは以下の記事でご紹介しています。

目次

西洋哲学史のおすすめ本:入門レベル

入門レベル
  • 『やさしすぎる哲学入門』(橘 龍介)
  • 『14歳からの哲学入門』(飲茶)
  • 『史上最強の哲学入門』(飲茶)

『やさしすぎる哲学入門』(橘 龍介)

「哲学なんて右も左も分からない」という状況であれば、本書がおすすめ。

ポイントとしては、「哲学史の面白い部分」だけを紹介してくれることです。

哲学史に関する本を読もうとすると、たいてい時代順に淡々と説明されていくのですが、多くの哲学初心者にとってソクラテス以前と中世の哲学はかなり退屈なはず。

本書は、そういった初心者のために、哲学史の挫折ポイントを大胆にもすっ飛ばしてくれるため、哲学の面白さを体感し次に進むための架け橋となる1冊です。

問題は残念ながらKindleでしか読めないところですね…。

『14歳からの哲学入門』(飲茶)

著者の飲茶は、後に紹介する『史上最強の哲学入門』も有名ですが、哲学史の大まかな流れを理解するなら本書から読んだ方が良いでしょう。

デカルト以降の近代哲学に焦点を当てて、近世哲学の流れを「合理主義→実存主義→構造主義→ポスト構造主義」に切り分けて、各時代の哲学思想が紹介されていきます。

私たちとって身近な具体例を用いた解説がとにかく分かりやすく、特にカントによる経験論と合理論の統一の部分は、初めて読んだとき目から鱗が落ちたのを覚えています。

哲学史を学ぶのであれば、哲学者が「何を言ったか」を暗記するのではなく、哲学者が「どのような流れの中で言ったか」を掴むのがポイント。

本書は、近世西洋哲学の本流をしっかり押さえることができる上、分かりやすさと面白さも折り紙つきです。

『史上最強の哲学入門』(飲茶)

著者飲茶が漫画『グラップラー刃牙』のファンということで、そのノリで書かれており非常にとっつきやすい入門書。

探求されたテーマごとに、史上最高の真理を求めた古代から近世までの哲学者の思想が次々と紹介されていきます。

  • 第一ラウンド 真理の『真理』
  • 第二ラウンド 国家の『真理』
  • 第三ラウンド 神様の『真理』
  • 第四ラウンド 存在の『真理』

『14歳からの哲学入門』にも負けず劣らず分かりやすく、説明不要の面白さも健在です。

西洋哲学史のおすすめ本:初級レベル

初級レベル
  • 『ヨーロッパ思想入門』(岩田 靖夫)
  • 『反哲学史』(木田 元)
  • 『西洋哲学史』(岩崎 武雄)

『ヨーロッパ思想入門』(岩田 靖夫)

日本人が西洋哲学を学ぶ際に必ずぶち当たるのがヨーロッパの宗教観。

哲学がキリスト教の権威づけに用いられた中世はもちろん、近代においても哲学とキリスト教は密接な関わりがあります。

しかし、キリスト教が根ざしていない日本において、その価値観はなかなかピンとこない。

その理解を助けてくれるのが本書『ヨーロッパ思想入門』です。

本書は、西洋思想は「ギリシアの思想」と「ヘブライの信仰」という2つの土台から成るとして、その説明に多くのページが割かれています。

注意点として、「岩波ジュニア新書」かつ「入門」と謳いながら意外と難しいこと。

入門編を読んで哲学史をある程度理解してからの方が無難です。

『反哲学史』(木田 元)

本書はタイトルの通り、アンチ「哲学史」の立場から「哲学史」を相対化して解説しようとした試み。

西洋哲学を貫く「本質存在と事実存在」「形而上学的思考様式」という2つの概念を中心に、19世紀までの哲学史を解説してくれます。

本書のポイントは、西洋哲学を貫く1つのストーリーを示してくれることです。

私自身もそうでしたが、とりあえず気になる哲学者の入門書を読んでも、「各哲学者の思想は分かるが、繋がりがよく見えない」という状況に陥りがち。

ある哲学者の思想が、哲学史の文脈の中でどういった位置づけとなるのか、という点を押さえるために必読の書です。

ちなみに、本書における「本質存在と事実存在」「形而上学的思考様式」という2つの概念については、こちらの記事で紹介しているのでぜひご覧ください。

『西洋哲学史』(岩崎 武雄)

『カント』や『カントからヘーゲルへ』など数多くの名著の残したカント研究者、岩崎武雄による西洋哲学史の教科書的著作。

岩崎武雄の著作は、内容の高度さとは不釣り合いなくらい恐ろしく分かりやすく、本書は初期の著作(1952年初版)ですがその明晰さは既に顕在です。

著者は、西洋思想の発展を、人間が徐々に自己を積極的に自覚しながら、非合理的で感性的な側面を含めた人間の存在を肯定するに至る歴史として解釈しようとします。

このあたりの哲学史観は、古代哲学、中世哲学、近世哲学の各篇の最後の「概観まとめ」に書かれているのでぜひ読んでみてください。

西洋哲学史のおすすめ本:中級レベル

中級レベル
  • 『西洋哲学史 上/下』(シュヴェーグラー)
  • 『西洋哲学史 古代から中世へ/近代から現代へ』(熊野 純彦)

『西洋哲学史 上/下』(シュヴェーグラー)

ヘーゲル穏健派の哲学者シュヴェーグラーによる名著。

現在は中古でしか手に入りませんが、Amazonやメルカリ、ブックオフでも売られています。

100年以上前の古典ということもありとっつきにくい印象がありますが、想像以上に読みやすく、特に上巻プラトンから下巻カントまでは驚くほど端的で分かりやすいです。

もちろんフィヒテからヘーゲルまでのドイツ観念論の解像度も高いのですが、いかんせんドイツ観念論自体が難解なため分かりやすいとは言い難い…

また、書かれた時代が時代だけに、ヘーゲルまでというのが惜しいところ。

シュヴェーグラーが語る、ニーチェやハイデガー、ウィトゲンシュタインも読んでみたかったですね。

『西洋哲学史 古代から中世へ/近代から現代へ』(熊野 純彦)

岩波新書から出版されている現代の西洋哲学史のスタンダード的存在。

「まえがき」で著者自身が言っているように、哲学者が実際に語った言葉の引用が多いのが特徴的。

著者の解釈は含めつつも、哲学者本人たちの言葉を用いて再構成した西洋哲学史といった色合いが強いため、ある程度予備知識があった方が楽しめます。

哲学者同士の解釈や影響、また各哲学者の人物像が浮かび上がるエピソードなども数多く盛り込まれ、新書ながら充実した内容は一読の価値ありです。

終わりに

今回は、西洋哲学史のおすすめ本をレベル別に8冊紹介しました!

哲学史を学ぶことに対して、

「昔の哲学者の主張を知ることが哲学ではない、自分で考えることこそ哲学だ」

という意見も存在します。

そういった意見も念頭に置いてかどうかは定かではありませんが、本記事で紹介した『西洋哲学史 近代から現代へ』の著者熊野純彦は、次のように言っています。

哲学史と哲学そのものは、べつのものというわけではありません。それぞれの哲学者の思考を辿ること自体が、すぐれて哲学的思考を要求することがらであるからです。

熊野 純彦『西洋哲学史 近代から現代へ』岩波新書

つまり、哲学史を学ぶことは、過去の偉大な哲学者を対話相手として、彼らと一緒に哲学的思考に身を興じることに他なりません。

それは自分一人で思索に励むこと以上に、「哲学」していると言えるのではないでしょうか。

今回ご紹介した本が、あなたの哲学への興味を刺激する1冊となれば幸いです。

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この記事を書いた人

大学時代は社会学専攻。
現在は、事業会社のWEB/メールマーケティングに携わる。


月5~10冊ほど読書します。
好きなジャンルは哲学、社会科学、マーケティング、データサイエンスなどで、知的好奇心に突き動かされジャンル問わず読みます。

土曜の朝の「さて今日は何をしよう」というぼんやりした時間が1週間で1番好きです。

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